キーワードはコミュニティの再生

〜第71回全国都市問題会議に行ってきました〜

★阿蘇にしはらウインドファームの風車発電機
★阿蘇にしはらウインドファームの風車発電機
10月8日から2日間、熊本市で「人口減少時代の都市経営」をテーマに全国都市問題会議が開催されました。
2年ぶりの大型台風が九州に接近している7日に東京を出発しましたが、無事到着することができました。そして強風の中、熊本県西原村にある、J−Powerとアサヒビールの共同事業による大型風力発電所を見学しました。風力が年間を通して安定している阿蘇の中腹に10基の風車発電機が設置され、年間2,500万キロワット(約7千世帯分の年間消費電力量)の発生電力は九州電力に売電されています。60メートルの風車が台風の風を受けてフル回転している様は圧巻でした。
 
全国都市問題会議1日目は、東大大学院都市工学教授大西隆さんによる持続可能な社会への転換に向けて、都市インフラ整備の考え方の転換、地域経済力の活力の維持、環境との共生とともにコミュニティの再生が必要という基調講演を皮切りに、自治体や、市民の取り組みが報告されました。
 
熊本市長からは、人口減少社会を見据えた総合計画と、環境先進都市を目指した環境保全と地球環境問題への取り組み、都市の活力を維持するために豊かな地下水や食、歴史的観光資源での都市ブランド戦略などの実践について、大阪府池田市長からは、市民自らが地域の課題を解決し、暮らしやすいまちづくりを実現するために、H19年に「地域分権条例」を制定し、小学校区別のコミュニティ推進協議会ごとに予算編成要望権を持ち、住民税の1パーセント(7,000万円を11の協議会で按分)の使途を地域で話し合い、地域の課題を解決するために使える制度について報告がありました。

また、小布施市で酒造会社の代表取締役しているセーラ・マリ・カミングスさんは、小布施の歴史やまちの良さを多くの人に知ってもらうために、「第3回国際北斎会議」や、各分野の第一線で活躍している人をゲストを迎え、町の内外から参加者を受け入れる月1回の定期イベントの「小布施ッション」、回数を重ね今では7,000人もの参加がある「小布施見にマラソン」の開催を通して、まちの活性化と人の交流を図ってきました。そんなの無理と言われながらも、めげずに行動し「台風娘」の異名を持っているとか。ユーモアと駄洒落を織り交ぜた、エネルギッシュなトークに引き込まれました。

熊本大学政策創造研究教育センター教授の上野眞也さんは、戦後の福祉国家の進展は、家族や個人が地域の人と共同性を発揮していく必要性を減少させ、善い社会を作るのに自分にも責任があると考える人が少なくなり、孤独死、鬱の蔓延、高齢者・子どもの見守りの困難などは共同性を失った社会の衰退の現れである。政策的にコミュニティを再生するためには、住み替えの促進で世代の混住を図る、夫婦がフルタイムで働かないライフスタイルと雇用環境の実現、個人の安易な自由や自己実現ばかりを追いかける生き方を改めること、地域や家庭内のコミュニケーションの活性化が有効と問題提起されました。
2日目は宇都宮市長や伊勢原市長、熊本学園大教授など5人のパネラーによるパネルディスカッションが行われました。

自分だけの幸せを追い求めて気楽な都市での生活を享受していたつもりが、人と力を合わせて社会を作りあげる能力を失っていくことと裏表でした。気付いてみると失ったものの大きさに愕然としてしまいます。しかし、人は結局人の中で成長し、共感し、安らげるものだと思います。身近なところから人とのつながりをつくり、都市でのコミュニティのあり方をみんなで模索していくことが必要だと思います。私にとって生活者ネットワークの活動がまさにその実践です。