都議補選北多摩 狛江市で1学期の学校給食費無償化へ――新型コロナ学校休校で見えてきた学校給食政策の重要性
5月25日、政府は新型コロナウイルス緊急事態宣言の全面解除を決定しました。しかし、ウイルスの挙動を封じ込めたわけではなく、第2波、第3波への周到な対策もまた、求められているのが実情です。
宣言解除を受けて学校教育現場では、6月1日を時日に各地で本格的な授業再開が予定されています。すでに一部の生徒が指定された日時に登校する分散登校が行われていた自治体もありますが、教育活動の再開にあたっては、感染リスク対策としての分散登校、マスク着用や「三密」を回避する授業環境づくりなどが図られていくことにます。
狛江市で1学期の学校給食費無償化
自治体発コロナ対策!広がる給食費無償化の動き

ともに活動しています――狛江・生活者ネットワーク市議会議員のまつざき淑子(左)とドゥマンジュ恭子
こうした中新型コロナ緊急対策として、実施期間は異なりますが、各地で学校給食費無償化の実施が発表されています。大阪市、大阪府大東市、沖縄県石垣市、沖縄県糸満市、愛知県豊田市や神奈川県平塚市などで、所得が減少している子育て家庭の負担軽減や、不安を和らげるための対策の一つとして講じられています。
これに続く動きとして、私たちのまち狛江市でも、来月1日からの小中学校再開にあわせて、1学期(小学校は~7月31日まで、中学校は~8月7日まで)の給食を無償で提供することになりました。対象となるのは市立の小中学校に通うすべての児童・生徒およそ4900人で、小学生が約8000円、中学生は約1万円の給食費がそれぞれ無償となります。 配膳に伴う感染リスクを減らすため、再開1週目は個包装されたパンと牛乳などの簡易給食とするほか、2週目以降も配膳する人数を減らして提供できるメニューを用意するということです。狛江市教育委員会は新型コロナ感染拡大で経済的な影響を受けている子育て家庭も多いので、少しでも保護者の負担軽減につなげたい、としています。
子どもの7人に一人が貧困
新型コロナ学校休校で見えてきた学校給食政策の重要性
子どもの7人に一人が貧困という事実から、学校等の給食が一日の主な栄養源になっている子どもたちがいます。NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ(赤石千衣子理事長)が、児童扶養手当を受給する694人を対象に聞いたアンケートでは、新型コロナの影響で約6割が収入減になり、収入がなくなった人も11%、「子どもたちは1日1食で我慢」「自分は2日に1回しか食べていない」といった回答があったほか、「公園の水を飲んで節約している」「トイレはなるべく外のトイレを使う」「ライフライン止まった」などの回答もあったということです。
保育所や学校の一斉休校に対応しようと、各地の子ども食堂やフードバンクが連携する「こどもフードパントリー」が、必要とする家庭に子どもだけでも食べられる弁当やレトルト食品などを提供する取り組みも行われてきましたが、しかし、民間の力に頼るだけでなく、政府や東京都、自治体行政が子ども家庭の窮状や子どもの実態を把握し、希望する子育て家庭への給食の提供や現金給付、低所得のひとり親世帯に支給される児童扶養手当の増額、なによりコロナ禍の終息が見通せない現在、困難を抱える子ども家庭と支援策をつなぐための相談窓口の開設が必要不可欠です。
次代に羽ばたく子どもたちへ
学校給食費の完全無償化を検討すべきとき
全ての公立の小中学校の児童・生徒に対して、所得に関係なく公平に行われる学校給食費の無償化。
そもそも学校給食とは、1889年、山形県の日本海沿岸に位置する鶴岡町(現鶴岡市)忠愛小学校で、貧困児童を対象に無償で行われたことに端を発する取り組みです。現在、公立小中学校の給食無償化が検討されてはいるものの遅々としており、小中学校の無償化実施状況は、1740 自治体のうち76 自治体(4.4%)、小学校のみ無償化は4 自治体(0.2%)、中学校のみ無償化が2 自治体(0.1%)に留まっています(2017年:文部科学省「学校給食費の無償化等の実施状況」及び「完全給食の実施状況」)。
また無償化に踏み切った自治体の9割以上が人口1万人以下の市町村で、無償化が全国的に進まない理由について同調査では予算の継続的な確保を挙げています。
こうした実情の中、2020年4月に中核市レベルで初めて学校給食費の無償化に踏み切ったのが兵庫県明石市で、完全無償化で新たに約3億5000万円の負担を計上。成長期の中学生が通う市立の全13中学校を対象に実施されることになります。
全国一斉学校休校で開始した政府の新型コロナ対策。いま改めて子どもの成長を支える学校給食の、その政策の重要性が問いなおされています。食べることは生きること、学びの一環でもある学校給食の完全無償化を視野に、基礎自治体と東京都が連携して議論を始めるときではないでしょうか。
生活者ネットワークとドゥマンジュ恭子は、貧困や格差、障がい等にかかわらず、子ども・若者が共に、等しく学べる環境整備のために、学校教育の完全無償化の実現をめざしています。

学校給食は地産地消で! 調布市も助成している農園体験ファームで収穫する、ドゥマンジュ恭子